世間的には「超今さら感満載」の作品でしょう。でも自分にとっては「超タイムリー」。

刑務所生活で貪るように本を読みんだ自分は、出所してから原作と映像化の比較をすることが楽しみの1つになっています。

そして映像化された作品を見れば見るほど思うんです。


「原作の方がいいな~。」てか「原作を超える映像はそうそう無い。」


って。映画の場合は時間に制限があるためエピソードをハショっている場合が多く、登場人物の心理描写も「カンタンにわかりやすく」なっていることが多いんですね。だから、原作を読んだ身としては「あぁ~、大事な場面が端折られてる~っ!!」ってちょっとガッカリ。

最近観たところでいうと、

・「アントキノイノチ」(さだまさし:原作)
・「その日の前に」(重松清:原作)
・「重力ピエロ」(伊坂幸太郎:原作)
・「半落ち」(横山秀男:原作)
・「さまよう刃」(東野圭吾:原作)

なんかは「完全に原作強しっ!!」の印象でした。

ただ、この作品は違います。僕の中では完全に原作を上回ってますね。はい。(ちなみに、原作が駄作という意味ではありませんよ。)


作品紹介



八日目の蝉 (中公文庫)
角田 光代
中央公論新社
2011-01-22



八日目の蝉 通常版 [DVD]
井上真央
アミューズソフトエンタテインメント
2011-10-28



(以下シネマトゥデイより引用)
誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。誘拐された少女の大学生時代を井上真央が演じ、愛人の娘を誘拐する女性に永作博美がふんするほか、小池栄子や森口瑤子、田中哲司など実力派俳優が勢ぞろいする。


あらすじ



(以下シネマトゥデイより引用)
子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。


感想



よくある「アカデミー賞~部門受賞!!」という謳い文句。実際に観てみると、「そっ、そんなにいいか…?」っていうのが多い。だけど、これは謳い文句に負けてません。めっちゃ納得。

さらにいうと、自分は「泣かせますよ~っ!!!」ていう感じの作品を観るとめっちゃブッ冷めます…。

例えば、一昔前に流行ったケータイ小説が原作の「恋空」とか。(ファンのみなさんがもしいたらスミマセンッ!!)観終わった後も、目元カラッカラでした。学生だった当時、クラスの女の子が「あれを観て泣けない人間は、人間じゃないっ!!」って言ってて、「あっ、俺人間じゃねえや。」って気づいた瞬間があります。

そんな女子には

「まずは重松清さんの”卒業”を読んでくれ。そっから俺が本当に人間じゃないかどうか話そうではないか。」

と強く言いたいです。


そんな基本目元カラッカラの自分が、この映画のエンドロールで中島美嘉の「Dear」が流れた瞬間はヤバかったですね…。

目元がしっとりしてました。

それまでの映画の内容と、曲の歌詞と曲調が「バシッ!」とハマッて…。


印象に残ったシーンでいうと、逃亡生活の途中、薫(誘拐された女の子)が、希和子(誘拐した女)に聞くんですよ。


「男の子と女の子の違い」を。


そこのくだりとかね、本当にもう切なすぎる…。「もう、このままでええやんっ!この2人が親子でええやんっ!」なんて思ってしまう。


クライマックスで希和子が逮捕され、そのとき警察官達に対して出てきた言葉も…。


「正に、”母よりも母”」


希和子さんがやったことは確かに犯罪だし、褒められたものじゃない。一言で言ったら「誘拐」ですから。さらにいえば、希和子一人の責任ではないにせよ、薫やその家族を含めて多くの人の人生を狂わせてしまっているのもまた事実…。

でも、あの言葉を聞いて、


「あぁ~、それだけじゃ説明しきれないことも本当にたくさんあるんだなぁ…」


と強く思いました。というか、染みわたりました。


その他にも逃亡生活の途中で出てくる「エンジェルホーム」。これって、周囲からしたら「危ない宗教団体」かもしれない。だけど、当の本人達からしたら「唯一存在を許される、行き着いた場所」なわけで…。これにしてもどっちの視点から見るかによって、「正義」が変わってきますよね。


誘拐された女の子に妹がいない所とか、ラストシーンとか、原作を映像化するにあたり細かい点は変更されています。

ただ、それによる「ハショり感」を全く感じさせません。


「親子関係って、血縁関係だけなのか?」


って悶々としてまう、が、超おススメの1本です!!!

こう考えると、キャッチコピーの「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。」ってすさまじく秀逸。


最後に



そういえば、映画で1つだけ納得できない点がありました。




「なぜ、井上真央の相手が劇団ひとりなのか?」




以上ですっ!!