PP_kougyouchitai


正確にいえば、先月すでに一年経ってました。


今日はこの一年を振り返りながら、当時のことを思い出したり、そこで得た僕なりの結論のようなものを書き記していきます。



 あくまで僕個人の感覚ですが、このブログでも記事にしているように「元受刑者ということを隠さずに就職する。」ということは、それが例えアルバイトであっても厳しいもの。

(参考記事:「元受刑者の就職 ~経歴詐称は避けられない??!~」) 

要領のいい人であれば面接でサラッと嘘をついて経歴を詐称することでしょう。まずは就職することが先決だし、そこから頑張って結果を出せばいい。

協力雇用主(=元受刑者を積極的に雇用する会社や事業主。ハローワークとも提携。) でもない限り、「それまで真っ当に生きてきた人」と「前科者」。人柄や能力なんて面接だけで分かるはずなんていないから、両者を天秤にかけて出てくる答えは誰の目にも明らか。

僕自身、アルバイト面接の3社目は前科のことは自ら話しませんでした。だけど、正直に履歴書を書けば必ずできる「懲役という名の空白期間」。そこだけはごまかせません。面接官としてその期間を疑問に思い、突くのは当たり前。嘘をつくしかない、のが現状。

自分でやったことだから、至極当然。因果応報。


だけど「嘘をついて、周囲を欺き就職すること。」にどうしても前向きになれない自分がいました。
だってそれって、結局何も変わってないってことじゃないですか。



家族、友人、スタッフ、取引先、お客様、その他全ての人たちを裏切って、欺いて、その結果自分は刑務所に入ることになった。


なのに「また嘘を重ねて生きて行く」という選択肢は、「もうあんなことはしない」と決めた自分の心と明らかに矛盾するわけで…。


想像でしかありませんが、もし1年前の僕が経歴を詐称し就職していたとしたら、自分自身の矛盾に嫌気が差してすぐに仕事を辞めていたかもしれません。言い換えれば「甘ちゃん」。結果のために私情を捨てることができない人間。


そんな時期に今の会社を紹介してくれたのが、前の会社の社長。この方が自分が刑務所に入っていたときに声をかけてくれ、出所してすぐに雇ってくれた。さらに自分の身勝手な夢を聞き入れ、応援してくださり、今の会社の社長を紹介してくれた。本当に恩人です。一生頭が上がりません。

そして、そんな僕を「やるならやれ。」といって採用してくれた今の会社の社長。

この2人の存在があって、今の僕があり、仕事があり、生活できています。

本当に感謝してもし尽くしきれません。



採用当日、通知の電話があったときは本当に嬉しかった。


それまで面接では手応えもあり、面接官も「応援する」と言ってくれた後に書類やメールで「貴意に沿うことができません」の連続。ちょっと凹んでました。いや、割と舐めてかかっていた僕は、正直かなり凹んでいました。

そのときの僕が、



「明日から来れるか?」



の一言でどんなに救われたことか。電話口で「ありがとうございますっ!!!!」って何度もデカイ声で言いながらお辞儀してた気がします。



それから1年。



聞いていた通りのバリバリの肉体労働。
キツイ、キケン、キタナイのいわゆる3K最前線であることは間違いない。 
理不尽なことに何度も腹がっ立ったし、未だに納得できていないことも多々ある。


でも、この仕事を一年続けてきた今、思う。


続けてよかった。 って。
ありがたい。って。



思うに、元受刑者の就職って「二つの勝負」が存在する。


まず一つ目が 「就職するまで」で、これは先にも書いてある通り。
そして二つ目が 「就職してから」で、実はこれがかなり重要。



「俺はこんなとこで働く人間じゃない!」
「もっとふさわしい場所がある!」
「やってられるか!ブラック企業が!」

っていうのはすごくカンタン。ぶっちゃけ僕も「何で俺より能力の低い人間にこんなにペコペコしなきゃいけねぇんだよっ!!」って何度も思った。ちっぽけで頑ななプライドが今でも顔出す瞬間だってある。(まあブラック企業に関しては、それで心身ともに病んでしまうなら即刻辞めてしまって構わないと思うけど。)

でも、そこで「次を見据えて辞める」のと「ただ投げやりに逃げる」のでは天と地ほどの差があって…。

いくら本を読んで体を鍛えたとしても、
工場内の受刑者の中でどれだけ偉かったとしても、
所内一の模範囚であったとしても、
めちゃくちゃ刑務官に気に入られていたとしても、


そんなものは外の社会に出れば一切関係ない。


頭では理解できるこの当たり前の事実が「誰かの元で数年ぶりに新人から仕事を始めたとき」 に突きつけられる。

稼ぐ能力のある人は自分で始めればいいだけだし、それまでの仕事ぶりで拾ってくれる人脈がある人はそれを最大活用すればいい。

でも、大半の元受刑者違うはず。僕も、そうだった。


「自分がどれだけ稼ぐ力の無いの人間か。前科のある履歴書が世間一般でどういう位置に存在しているか。」まずはそれを認めないと始まらない。

だから僕は、これまでの経験を通して


「まずは就職した先で必要とされる人間になること。」


が大事だと思う。使い古された言葉、言い回しだけど、本当にそう思う。

「このままで終われるか!絶対這い上がってやる!」
「今にこの職場の人間全員ブチ抜いてやる!」
「誰よりも技術磨いて、もっといい会社に就職してやる!」
「ここで金貯めて、自分で起業してやる!」

全然いい。自分自身への怒りや周囲のへの劣等感って、ときとして爆発的な力になるから。その力の方向性さえ間違えなければ。


「前科者は就職してからが本当の勝負」


今こうして一年を振り返ってみての、僕なりの結論。

「自分が必要とされる場所がある」
「自分のした仕事で取引先に喜ばれる」
「自分の稼いだお金でおいしい物を食べる」

そんな当たり前だけど些細なことの積み重ねが、出所してからの劣等感やコンプレックスを徐々に払拭してくれるはず。

だから、就職が決まったた元受刑者の人たちは「これからが本当の勝負時だ!」と思って頑張ってほしい。


「前科」は雇用主が僕たちを採用しない理由には十分なりうる。
だけど、僕たちが目の前の仕事を投げ出す理由には一切ならないから。



何も一年でなくても、半年でもいい。何なら三ヶ月でも一ヶ月でも。
ただ、その自分で決めた期間だけは食らいついて欲しい。
「絶対にこの場所で必要とされる人間になってやる」って。

無様でもいい、這いずり回れ。
クソの役にも立たないプライドなんか捨てて。
周りは結果でしか見返せないから。


今日も勝手に応援してます。


僕自身、今の会社でお世話になるのもあと数か月。


いい置き土産ができるように、けもの道をいこう。