「死刑囚」



普通に生きている限り、まずは会うことはないでしょう。僕自身、実際に会ったことはありません。単純に考えれば「死刑になるほどの犯罪を犯した人間」。世間一般でいうと「死んで当然の人間」。出所後の生活はある意味考える必要はなく、出所するときイコール死ぬとき。そんな彼(彼女)らの姿を描いたマンガが非常に胸に刺さりました。
 




①死刑までの流れ

作中に非常にわかりやすいフローチャートがありました。

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この図を見てもらえれば分かると思うんですが「死刑は最終手段」なんです。大体の人間は最高裁まで争うんじゃないでしょうか。死刑になるほどの事件であれば「人権派弁護士」といった類の人たちも動機はともあれ手弁当で参加することもよくありますし。



②死刑囚の生活

死刑囚は服装は私服ですし、髪も伸ばせます。自分の好きな本だって読めるしお菓子だって食べれる。もちろん懲役ではないので作業もない。そう、たぶんみなさんの想像以上に「自由」なんです。刑務所で服役している受刑者の方がよっぽど色々な事柄が制限されています。

しかし、一方でその自由は「いつ死ぬか分からない恐怖と隣り合わせ」なわけで…。

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死刑執行は朝の9時〜10時に行われます。それも事前通告なしに、当日の朝不意打ちで。以前は事前に通告等があったようですが、通告された死刑囚が自殺したりなどの問題が出てきたため、このような方法になったとのこと。なので「いつもと違う足音」が聞こえただけで取り乱してしまう人も出てきてしまうというわけです…。ある種これが死刑という制度のもっとも大きな罰のような気がします。



③「あの加害者は反省しているの?」被害者の「知る権利」

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作中には多くの死刑囚が描かれています。その中には「心底罪を悔い改め反省している者」もしれば「開き直って全く反省してない者」も…。被害者遺族(死刑ともなればほぼ必ずといっていいほど人を殺めています。)からすれば「心底罪を悔い改め反省する」のはもはや前提と思う所でしょうが、これが通用する相手は限られており…。

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(例えば、先ほどの方にこの現状を突きつけるのは酷かと…)

また、一般の刑事事件と同様で「加害者の情報は被害者には知らされない」んです。例えていうなら、相手がのうのうと開き直って暮らしていようが、毎日真摯に懺悔しながら暮らしているか、結局はわからなない。どちらか弁護士を通して手紙等で連絡をとろうとし、相手方の了承が得られれば話は別ですが、基本的には分かりません。

「自分の大切な人、そして自分の人生すらめちゃくちゃにした加害者がその後どうなっているか全くわからない状態」

「全く反省していない事実」を被害者に突きつけ、そのことによってさらに苦しめてしまうのならそれはある種「正解」かもしれません。しかし「やったらやりっ放し」となっている感も否めないのが正直な所…。



④死刑は「抑止力」になるのか

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根本の問題はこれなんですよね。少し調べてみるとこれには諸説あり「抑止力になる派」と「抑止力にはならない派」が存在します。しかもその相対する派閥が「同じデータを用いて持論を展開している」という奇妙な事実…。データは読み方や切り出し方によっていくら嘘をつきます。自身の都合よい内容に編集できる、といってもいいでしょう。結局の所、「正確にはまだよくわかっていない」ようです。



⑤「冤罪」という最悪の可能性

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これも死刑制度を理解するうえで避けては通れない問題。有名なところでいえば「砂川事件」「足利事件」。特に昔は現代よりも「科学的根拠」を示すためのDNA鑑定等が発達していなかったぶん多くの「冤罪」が表には出ないだけで生まれていた気がしてなりません。さらにいえばそういった捜査技術が発達してきた現代においても「自供」は大きな力をもっています。「その自供を補足するための調書」が都合よくつくられるわけです。逮捕当時、自供していた僕でも何度も何度も同じことを延々と毎日毎日聞かれ、さらにはあることないことカマをかけられました。当時は弁護士以外は誰とも連絡をとらない「接見禁止」の状態だったので、精神的にかなりこたえましたね…。そんな状況続けば、意志の弱い人間であれば「あぁ、この人たち(警察)の言う通りに答えて楽になろう」といった気持ちになるのもわかります。

ただ、だからといって「物的証拠がないから白を切りとおしとけばOK」と考える輩が出てきてもそれはそれで考えよう…。「疑わしきは罰するのか?罰しないのか?」という話ですが、僕としてはやはり物的証拠以外の「自供」も必要だと感じます。



⑥まとめ

本作ではこの記事で正気した「死刑囚の生活」から「冤罪」「制度の問題点」のほかにも「人権派弁護士」「死刑を執行する刑務官の苦悩」といった様々なテーマが扱われています。あくまで物語はフィクションなので「それはうまく行きすぎだろ」「その展開は現実ではありえないな…」としらける場面もありましたが、それを差し引いても一読の価値がある作品でした。僕は「この漫画の絵がかなり苦手」にもかかわらず全巻読んでしまったほどですから。





興味がある方は、ぜひ。けもの道をいこう。