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「協力雇用主制度」


簡単にいえば「元受刑者(=刑務所出所者)の雇用に協力してくれる企業」を「協力雇用主」と言います。その制度全体のことを指したのが上記の協力雇用主制度。

僕自身の話でいえば出所後は「学生時代にバイトをしていた会社の社長」が声をかけてくれたためすんなり就職できました。なのでこの制度を実際に利用したことはありません。刑務所の中で仮釈放前にかるく説明を受けたり、出所後に保護観察官のところで少し話を聞いたぐらい。

(参考記事:元受刑者の就職 ~経歴詐称は避けられない?!~)


「ハローワークには"そういう専用"の窓口があるんやぁ」


当時はそれぐらいの感覚でした。

ただ、一方で「やっぱりそういう仕組みが社会にはあるんだ。」と思って少し安心というか「いざとなれば、そういう道もある」と思って気持ちが心なしか軽くなったことを記憶しています。

でも、この「協力雇用主制度で就職した出所者の話」ってほっとんどどこにもないんですよ。ネットにも、本にも。


最近こんな記事を見つけました。

内容は元受刑者の雇用を積極的に実施しているお好み焼きチェーンの「千房」の話なんですが、その文末にこういった表記がありました。(参考リンク:産経ニュース:「正社員になって恩返しを」お好み焼き店で働く元受刑者の女性 始まった再犯防止の奨励金制度 )


刑務所出所者等就労奨励金支給制度 刑務所を出所後の保護観察対象者らの継続的な雇用に協力的な雇用主に対し、奨励金が支払われる制度。今年度から施行され、月額2万~8万円を最長1年間支給する。協力雇用主は全国に約1万4千社あるが、実際に雇用しているのは約500社。再犯者率の低減を目指し、政府は実雇用主を5年後に3倍の1500社とする目標を立てている。

「協力雇用主は全国に約1万4千社あるが、実際に雇用しているのは約500社。」

これですよ。(ちょっとこの記事以外でソースが見つけられなかったので、この数字を一応「正しいもの」と仮定してここからは書いていきます。)


パーセントにすると「0.0036%」。


「出所者の雇用に協力しますよ」と表明している企業で実際に出所者を雇用しているのは「1000社に4社あるかないか」の圧倒的に低い割合…。もはや「ほぼ機能していない」といっても過言ではないでしょう。

これと似たような「障がい者を雇用した企業に補助金が出る」制度ってあるじゃないですか。そういう話はけっこう企業のホームページなんかみても「CSR(=企業の社会的責任。社会貢献。)」の項目で積極的に紹介しているのに…。やはり世間からの「見られ方」が相当根深く関係しているんでしょうね。

ちなみにですが、刑務所からは毎年約3万人の受刑者が出所しています。上記の500社も毎年にわたって出所者を雇用しているわけではないでしょう。よくて毎年150~200社で1~3名ぐらいじゃないでしょうか。かなり多めにざっくり計算しても「毎年3万人中500人の出所者しかこの制度を活用して就職できていない。」ことが予測されます。

その数、出所者全体の「約2%」

ということは…。本っ当に素朴な疑問なんですけど、


「残りの29500人はどうやって就職した?」


って話です。やっぱり「経歴詐称」とか「知人の紹介」とかなんでしょうか。たしかに500人でも就職できていればこの制度には価値があるとは思いますが、残りの98%の人たちの「その後」というか情報が出てこないのは当事者として非常に気になるところ。というか、当時はそういった「先輩たちの体験談」が一番知りたかった。

う〜ん、やはりこういう情報は表には出てこないんですね。色々理由はあると思いますし、数字も実はかなり適当で本当はもって機能しているかもしれない。けど、肌感覚としては案外外れていない気がします…。

ともあれ、以前にも記事にした通り元受刑者の就職って本当にいつだって「超超氷河期」という事実を眼前に突きつけられた気がしています。(参考記事:「離職率89%」出所者支援の厳しい現状)


そこを掘り起こすのが、自分の使命。けもの道をいこう。