ハーバード大学。



言わずと知れた世界トップレベルの超一流大学。

「世界大学ランキング」では日本の最高学府である東京大学の43位に対しハーバード大学は6位。

「ハーバード流交渉術」
「私がハーバードに行けた理由」
「ハーバード白熱教室」等々…

バードにバード、ハーバード。猫も杓子もハーバード。リアル書店やアマゾンのビジネス書欄を席巻する彼ら。

まさにエリート・オブ・エリート。トップ・オブ・トップ。アウト・オブ・デラックス。まあ、とにかく「とんでも頭がいい人たち」でやんす。おんす。

そんな世界エリート集団であるハーバード大生になんと「現役の受刑者」が一矢を報いたようです。


①受刑者がハーバード大生に勝利


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【元記事】受刑者とハーバード大生、ディベートで対決 第2のチャンスで更生支援 WSJ

いやいやいやいやいやいや。まんじでビビりました。

以下、元記事より引用抜粋。



最大級の警備が敷かれた刑務所。ステージの一方には凶悪犯罪で服役中の男3人が、もう一方にはハーバード・カレッジの学生3人が座った。
18日に行われたディベート対決で、両チームは1時間にわたって意見を戦わせ、最後に審判団が判定を下した。
受刑者チームの勝利だ。
(中略)
バード・プリズン・イニシアチブの幹部によると、服役中に学位を取得した300人を超える卒業生のうち、3年以内に再び収監された人の割合は2%未満だった。

その他の内容を箇条書きでまとめてみると、


・このディベートはニューヨークのハードカレッジという学校が2001年から実施しているプログラムの一環。
・プログラムの競争率は10倍。
・受講に際し授業料は必要なく費用はすべて民間からの寄付(3億円)でまかなっている。
・受刑者チームのデビューは2014年。陸軍士官学校のチームに勝利。
・受刑者側はインターネットを使えないため本や記事の閲覧申請を出しながら準備を続けていた。
・受刑者チームには「故殺罪」を犯した者などの重犯罪者を含む。


これは、すごい。

何がすごいかって、

(1)費用は全額寄付でまかなっている。

こんな額の寄付って日本なら普通集まらないでしょ。3億…。日本であれば「国からの予算」として刑務所内での教育プログラムの補助として出る、といった流れになりそうなもの。それを民間の寄付だけで賄うって、どれだけ社会的に理解が進んでるかが分かります。

(2)チームに「重犯罪者」が含まれている。

日本だと大体こういう更生支援の取り組みって「刑期」「罪名」なんかが決められてて「刑期は短期で軽犯罪しか犯していない初犯の人」だけが対象になってるんです。法律は違いますがアメリカの「故殺罪」は日本でいう「傷害致死」にあたります。計画や意図はしていないが相手を殺してしまった、ときに適用される罪。日本であればまず書類審査で一発NG。

(3)全員が実名公開&顔出し。

現役の受刑者が、ですよ。もちろん本人の同意や種々の手続き、審査はあるでしょうけど。さっきから日本は日本は〜って言ってしつこいですけど、日本なら間違い無く「モザイク(or目線)&匿名」の事案。あっちでは「実名?当然でしょ?」みたいな感覚なのでしょうか…。①にも通じますが、それが「当たり前」として捉えれているのかもしれません。


いやぁ〜、本っ当にすごいですねぇ〜。っとここまで故・水野晴郎さんばりに褒めてきましたが、実はいくつか気になる点もありまして、、、



②イノシシ気になるポイント


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(1)アメリカは犯罪大国。

まずはこの前提をおさらいしておきます。みなさん御察しの通りアメリカは不名誉なことながら「犯罪大国」としても有名で、受刑者の人数も桁違い。日本が人口1億2千万人に対して7万人の収容(1714人に1人の割合)に対し、司法省のデータによるとアメリカでは人口3億2千万人に対して220万人の収容(145人に1人の割合)。人口比率でいうと10倍以上の差。「アメリカは進んでる!」というより「コスト面から考えてそうせざる負えない状況になっている」といった方が適切な解釈のようです。

(2)「0.000045%」の成功事例

前半の引用部分に「服役中に学位を取得した300人を超える卒業生のうち、3年以内に再び収監された人の割合は2%未満だった」とありました。2001年からこの取り組みは始まっているようなので、毎年大体20~25人程度がこのプログラムを卒業していることになります。詳細は不明なので現役受講者を100人と仮定すると、220万人の総収容者数のうち「0.000045%」。10万人に4~5人という途方もなく低い割合。まだまだ極々限られた成功事例の一つ、といわざる負えません。

(3)受刑者チームの経歴

元記事になかったので分かりませんが、多分元から「相当地頭のいい人たち」であったことは間違いないでしょう。いくら積極的な指導やバックアップがあったとしてもハーバード大生に勝つのは至難の技。自分の感覚からいっても「世間一般の人たちより頭がいい」とはお世辞も感じませんでした…。


③更生の可能性と方向性


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僕の考えはシンプルです。。


「全員は救えない。上位を徹底的に鍛えることが全体の底上げへの最短」


「2:6:2 法則」を耳にしたことはありませんか。ざっくりいえば「どんな組織でも優秀な2割と平凡な6割、そして怠惰な2割に分かれる」というもの。これ、受刑者にも応用できると思うんです。まずは「見込みのある人間を徹底的に鍛えてモデルケース・成功例を積み重ねる」これが重要なんじゃないかと。下手に下位の2割に合わせたことをすれば全体のレベルは落ちるのは間違いない。

なので今後の更生ウログラムの方向性としては「可能性のある・やる気のある人間のみが救われるもの」である必要があると思います。

それでいうとこの記事で取り上げたプログラムの方向性には賛成です。「可能性のない(もしくは著しく低い)人間ややる気のない人間」に使う労力もお金も時間もないはず。その層へのアプローチの仕方は上位層へのアプローチとは全く異なりますから。上位層へ徹底的に注力することにより自然と中間層も引っ張られ全体のレベルが上がる、これが理想かと。

元記事にある以下の記述からもこの方向性が望ましいことが想像できます。

昨年、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(民主党)は、受刑者向けの大学の授業に補助金を交付することを提案した。知事は、受刑者を生産性の高い納税者にすることができれば長期的に費用を節約できると訴えた。しかし、共和党の政治家から批判され、知事は計画を断念した。法を守って生活している多くの家庭が大学の学費の捻出に苦労しているのに、有罪判決を受けた犯罪者が学位を取るのに金を出すとは何事か、というわけだ。

僕は犯罪を犯したことのない民間篤志家たちの支援や援助に頼るのではなく、「元受刑者が受刑者を支援・手助けする流れ」でないと今後どこかで必ず無理がくると思っています。そのためには「ビジネスを成功させた元受刑者・影響力を持った元受刑者」を生み出すための仕組みが必要。なので「上位層へのアプローチを優先」ってわけですね。



④最後に


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色々偉そうに書きなぐってきましたが、ネットの中だけでほざいている僕よりかははるかに価値・影響力ともあるプログラムであることは疑いようがありません。

こういったプログラムが世の中にどんどん普及していってほしいものです。

特例から常識へ。その第一歩ですね。


ではでは、この辺で。けもの道をいこう。