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こういうった質問、実はちょくちょく頂きます。


付き合っている(結婚している)相手が捕まってしまい、刑務所に行くことになりました。待つべきでしょうか?

最初いただいた方には返信したのですが、そのやり取りでやたらと疲れてしまいそれ以降のご質問(相談?)には返信していません。理由としては「一概にこうという選択肢はないから」です。そもそも自分自身にそういった経験がありませんし、こういった質問をしてくる人は大概がもうすでに「待つと決めていて」僕に背中を押して欲しいだけだったりするケースが多い。かといって僕から「待った方がいいです!」と言うこともできず…。

少し冷たいように聞こえるかもしれませんが、「好きなようにして下さい」としか言いようがありません。

なので、ここから先の記述はあくまで「こういった事実がある」といった客観的内容と「こうした人たちを見てきた」という個人的な体験に基づく主観です。もしこの問題で悩まれている方の参考になれば嬉しいです。



①待つことのメリットとデメリット


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好きな相手を待つことのメリットとはなんでしょうか?

・好きな相手とこれからも一緒にいられる。

これに尽きると思います。付き合っている場合などは特にそうじゃないでしょうか。結婚していれば子どもや金銭面の問題も浮上してくるとは思いますが、まずはこれが第一かと。先の人生を考えた場合、よっぽど玉の輿でない限り金銭的な問題はそこまで重要でない気がします。

ではデメリットは?

・相手の前科がどこかで自分に不利益を被るかもしれない。

こちらも突き詰めればこれに行き当たるかと。簡単にいえば「犯罪者の妻(夫)」というレッテルを否応無しに貼られるわけです。犯罪の内容や事件の大小にもよりますが、逮捕されて刑務所まで行くとなると何度目かの逮捕もしくは重犯罪のケースがほとんど。万引き(窃盗)や喧嘩(傷害)を一度犯しただけでは即刑務所行き(実刑)にはなりません。

とすると職場はおろか周囲の近しい人たちにも隠すことは難しいと考えられます。もしかしたら誹謗中傷を受けるかもしれません。少し行き過ぎたケースでありフィクションでもありますが、この加害者家族の状況や心理をうまく描写しているのが「手紙」(東野圭吾)です。

手紙 [Blu-ray]
山田孝之
ギャガ・コミュニケーションズ
2013-02-02


手紙 (文春文庫)
東野 圭吾
文藝春秋
2006-10

 

主人公が「兄が殺人犯」という過去のせいでどれだけ苦しめられていくのかが描かれています。主人公が最終的に下した決断は、ぜひその目で確かめてください。ちなみに映画のラストシーンは涙腺クラッシャーの小田和正さんが降臨されますのでご注意を。



②待つ側の心理と葛藤


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待つ側になったことはないですが、これまでやり取りをさせて頂いた方たちに共通している一番の悩みは、

「相手はしっかりと更生してくれるのだろうか?」

ということです。いくら口では反省しているとはいっても結局は出てこなければ分かりません。逮捕された本人にすらそれは分からないのです。何年間も健気に相手のことを想い待ち続けた結果、その想いが踏みにじられるかもしれません。「今待っているこの時間は無駄になるかもしれない…。」そういった葛藤を待つ側は常に持ち続けることになるでしょう。

ここに一つのデータがあります。


平成25年の再犯率は「46.7%」(「犯罪者白書 平成26年度版」)

説明しておくと、この再犯率とは「出所後5年以内に逮捕された者の割合」です。なぜ5年以内かというと、そこから先は一気に再犯率が下がるからです。(5年以降経過して逮捕されるケースは再犯の約1~2割。)

罪名で見れば「覚せい剤取締法違反」と「窃盗」はともに「再犯率約50%」とかなり高いものになっています。受刑者全体の約6割がこの罪名で構成されているのも頷ける結果に。他の罪名は「そもそも刑期が長い」などの理由から10%~30%と平均よりは低めです。なのでこの再犯率は「覚せい剤取締法と窃盗により大きく押し上げられている」とする見方が妥当でしょう。

こういった数値をあらかじめ知った上で「待つ」と決めることは、闇雲にただ待つと決めるよりもかなり有意義だと思います。



③待ってもらう側の心理と葛藤


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「そういった経験はない」と冒頭に書きましたが、実は僕も少しだけあります。

相手とは当時付き合っていたわけでもそういった関係でもありませんでした。しかし、僕が逮捕された後に警察(留置所)に手紙が届き、相手から好意を伝えてもらいました。僕もその相手に対し実は好意を寄せていたため「っしゃーーーっ!!」と心中ガッツポーズ。それからは手紙が来るごとに毎回小躍りしながら開封したものです…。

が、しかしっ!何度目かのやりとりからパタッっと返信がこなくなり…。最初は「何かの事件に巻き込まれたのでは?」なんて良からぬ想像ばかりが膨らんでいましたが、共通の友人づたいに聞くと「いたって元気にしている。」とのことで、簡単な話がアッサリ振られたわけであります。チーン。

他の受刑者の話や様子と見ていると結婚している相手は別れている確率が少なかったように感じます。付き合っているだけの関係で数年も待っているケースもいるにはいましたが、同じように「全然手紙が返ってなくなった…」「警察にいるときは毎日面会に来てくれてたのに刑務所に移送されたら速攻フラれた…」なんていう悲痛な叫びも…。僕から待っている側の人に対して言えるのは、

「引導を渡すなら早めにしてあげてください。」

刑務所は孤独ですから。本当に手紙ってのは嬉しいものなんです。でも「相手が可哀想だから…」とズルズル情だけでいっても何にも良いことはありません。あなたにフラれて相手が自暴自棄になるのはあなたの責任ではありません。相手の問題です。そして、待ってもらっている側(受刑者)に対して言えるのは、

「期待しないほうが得策です。」

待ってもらえるのは嬉しいと思いますし、そういった方々の支えられて日々頑張れるといったこともあるでしょう。しかし、毎日届いていた手紙が途絶え気味になったりしたときは「あっ、察し…」の心持ちでいきましょう。会えない相手(しかも犯罪者)を待ち続けるよりも、身近な出逢いに人は惹かれてしまうものです。こればっかりは誰も責めようがありません。

その上で、グッドラックっす。


④まとめ


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今までの話をまとめると、


・待つ側は悩むよりも再犯率等の数字をしっかりと把握した上で判断するのが得策。
・待つ側の心持ちとしては「引導を渡すならお早めに。」「新しい出会いに罪悪感を覚えることはない。」
・待ってもらう側の心持ちとしては「期待しすぎない。」
・最終的には自分で決めること。後悔のないように。


といった風な結果になりました。周囲に相談したり批判されたりしても結局決めるのは自分ですから。各個人個人が自分の選んだ道を進んでくれればいいと思います。


日本全国の受刑者とその待ち人に幸あれ。


けもの道をいこう。