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刑務所に行くかもしれない、という方からこんな質問をいただきました。
刑務所生活で一番気をつけていたことはなんですか?
う〜ん。色々ありますね。ただ間違いなく時間と精神を共に浪費するのは「人間関係」です。それ以外の悩みやトラブルはほとんど聞いたことがありません。なのでその「人間関係」について思いつく限り答えていきます。


①人間関係での「群れない」ポジションニング

「俺は東京生まれHIPHOP育ち!ワルそな奴は大体友達!」なワケではない僕。「俺は高知市生まれ普通校育ち!ワルそな奴は大体避けたし!」 な人生。その中で魑魅魍魎うごめく(と想像していた)刑務所で草木のようにひっそりと歩んでいくためにはどうしていたか。それは、

「こいつはこういう奴だ」というポジショニングを築くこと。

僕が服役していた島根あさひは基本的に個室ですが、1日のうち数時間はホールに出て他の受刑者と話ができたりしました。他のPFI(半官半民刑務所)でもそういった取り組みは当初されていたようですが、種々の問題があり僕が服役していた当時に導入していたのは島根あさひだけあったようです。(下記の画像参照)

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(引用:島根あさひ社会復帰促進センターHP) 

たしかに外に出て雑談したり将棋をさしたりすることもあったものの、その自由時間のほとんどを読書に費やしていました。「付き合いが悪い」「ホールに出てこいよ」と言われることもありましたが、延々とその姿勢を貫いていくと、

「アイツはこういう奴だ」

というポジショニングが勝手に出来上がっていきます。これは何も自由時間の使い方に限ったわけではありません。運動時間には筋トレグループが自ずと出来上がったりするものですが、僕はひたすら淡々と一人で筋トレして一人で走ってました。そういった姿勢は周りも必ず見ていますので「アイツは付き合いの悪い、一人で淡々とやってる奴」との認識が自ずと広まってきます。そうすると群れてワイワイやっていルグループとは距離ができますし、同じく淡々とやっている人や読書が好きな人から話しかけられる機会が多くなります。類は友を呼ぶ、というわけです。

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(ちなみにこれは当時の僕のノート。当時の僕はこうして自分の使える時間とそれに毎日どれぐらいの時間を費やしてるのかを管理してました。)


②礼儀は忘れない。

群れないのは前提。ただし礼儀は忘れてはいけません。

刑務所って狭くて凝り固まった環境ですから、みんな他人の粗探しばっかりしちゃうんです。そして些細なことで腹を立てたりトラブルが起こったり。そのリスクを最小に抑えるために大事なのは、

「礼儀を忘れないこと」

具体的にいえば「明らかに年下でも仲良くなるまでは敬語で話す。」「感謝と謝罪は素直にマメに。」「偉そうな態度は取らない」などです。こうしていれば余程マッドでクレイジーな輩でない限りは絡んで来ません。個人差はもちろんありますが、刑務官だけに限らず工場で班長やまとめ役をやっている人も「オラオラ系」よりはこうした「真面目系」を好む印象があります。少なくとも僕は各工場の刑務官やまとめ役の人に嫌われた経験はないです。(…たぶん。)


③嘘はつかない。経歴は盛らない。

これは絶対。

「俺は女が5人いる。」
「娑婆に出てからはコンサルの仕事をもらっている。」
「悪ばっかりやってきた。リアル不夜城だったよ。」

っとまあ色々な「稀代のワル達(自称)」と会ってきました。たぶん、みんな舐められないように必死だったんでしょうね。今までで一番の盛りマンさんは「大手自動車会社勤務で年収1億越え。さらには地下格闘技無敗」ってのがいました。役員か。もはや漫画。二次元の世界で生きてらっしゃいます。

でもハッキリいってこれは「超逆効果」でしかありません。

そもそも他人のワル自慢になんて興味ねーよって話です。そういったグループはそういった話で盛り上がっていますが、このケースは嘘がバレたときが悲惨で…。物品を巻き上げられたり、ハブられたり、部屋から出てくるなと命令されたり…。なので身を守るために嘘は必要かもしれませんが(性犯の人はイジメられるリスクを隠すために罪名をぼかす等)、明らかに分かる嘘は絶対につくべきではありません。その工場からイジメで逃れられたとしても、職業訓練などでその噂が広がっていれば「アイツは嘘つきだ」のレッテルはずっと貼られて生活しにくくなりますから。


④嫌われるときは嫌われる。

群れずに、かつ礼儀は抑え嘘はつかない。これだけで多くのトラブルは回避できるでしょう。しかし、すべての人間に好かれるのは不可能です。

嫌われるときには嫌われます。

僕の群れない態度や礼儀を抑えた態度を「スカしている」と思う輩も存在しました。いきなり絡まれた経験はありませんが、一度だけ作業で同じ班になったときにかなり偉そうに対応されたこともあります。そいつの「どうや!やってやったぞ」的な顔を思い出すと今でも腹が立ちますね…(わなわな)。っとはいえ僕はケンカもしたことが無いしそもそもする度胸が無いので草木のようにひっそりと受け流していました。

下手に媚びる必要は全くありませんが、そんなこと懲罰送りになり釈放が遅くなるのはバカらしいですからね。


⑤まとめ

っということで、僕が今振り返って思う刑務所生活の「人間関係」における気をつけるポイントは、


・群れない。独自のポジションを掴み取る。
・最低限の礼儀を心得る。
・身を守るための嘘以外は絶対つかない。
・嫌われるときは嫌われると割り切る。


以上です。

僕は圧倒的に「独居生活」が長かったため、正直「雑居生活」のついてはあまりよく分かりません…。まあでも雑居にいたときもみんながテレビを見てるときに一人で本読んでたりしてましたが。最終的な手段として、「精神的に潰れると思ったら作業拒否などをして懲罰に行き工場を変える」のも一つの選択肢。病んでしまったら元も子もありません。

質問者さんがもし刑務所に行かれることになった際、この記事が少しでもお役に立てればと思います。


それでは、この辺で。

けもの道をいこう。