ガチ勢。いわゆる本物。

犯罪者といえどもピンからキリまで千差万別。本日はそんな犯罪者の中のガチ勢(?)についてのご質問。
「シリアルキラーとかいましたか?これはシャレになってないみたいな犯罪者はいましたか?どんな会話した?」

先に結論を伝えておくと「僕はシリアルキラーにもガチ勢にも会ったことはありません。」

シリアルキラーは日本語に訳すと「連続」殺人鬼。最低2人以上殺していないといけないことになります。日本で死刑になる判断基準の1つが「2人以上殺していること」。ということはそんな人間はそのまま刑務所に行かずに死刑、最低でも無期懲役になってしまいます。そのため「日本の刑務所でシリアルキラーに遭遇する」のはかなり稀なケース。まあ、殺人を犯していてもバレておらず他の容疑で刑務所に服役しているパターンもあるとは思いますが。想像しただけでちょっと怖いですね…。

また「シャレになってない犯罪者」を「誰が見ても一発で分かるほどの猟奇的犯罪者」と定義すると、見かけませんでしたね…。これは刑務所の分類が理由の1つではないかと考えます。

詳しい区分は省いてざっくり説明すると、日本の刑務所は以下の4つに分類されます。

・短期刑の初犯刑務所
・短期系の累犯刑務所
・長期刑の初犯刑務所
・長期刑の累犯刑務所

10年以上が長期、それ未満は短期になります。僕がいたのは短期系の初犯刑務所。この4つの分類の中では一応もっとも「犯罪傾向が進んでいない者」が行く所です。こういう言い方はあまりよくないのかもしれませんが、受刑者の中でいえば「ペーペー」ってこと。なので「ガチ極悪」な人たちとも自然と会いにくい環境になるというわけです。未決(裁判で刑が確定するまでいる部屋)や分類調査センター(25歳未満の初犯受刑者を2~3ヶ月かけて分類する施設)では刑期の長い人と一緒になることもありますが、それぐらいのものです。

ということで、今回の質問への答えは「会ったことありません!」でした。どちらかといえば「これは福祉につないだ方がいいんじゃないか?」的なやばいそうな(?)人なら何人か見かけましたね…。ここら辺は山本譲司さんの「累犯障害者」に詳しいです。

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2009-03-30

 

ちなみに蛇足ですが、サイコパスとシリアルキラーについて少しだけ。

僕の中でのシリアルキラーのイメージは「快楽犯」「猟奇犯」「狂人」といったもの。実際に2000年にアメリカで逮捕され、世界を震撼させた70人以上を殺害したシリアルキラー、トミー・リン・セルズはこう言っていたそうです。

「誰を殺すかじゃないんだ。血の感覚のためなんだ」
「人を切りつけるときにパカッと開く肉の感覚・・・・・・あの感覚の中毒になってるのかもしれないね」

やばずぎ…。引くしかない…。フィクションではりますが、世界一有名なシリアルキラーといえば「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士でしょう。映画版は全シリーズ目を通しましたが画面越しからレクター博士に人生を掌握されている気分になってしまいました…。特に最初のクラリスとの面会シーンは檻に入っているレクター博士の方がなぜか優位に立っているという不気味さが脳に焼き付いて離れません。脳味噌は食べ物じゃないよっ!

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そして、シリアルキラーと並んで有名な単語が「サイコパス」。サイコパスについての詳細は以前記事にまとめていますので、こちらをご覧ください。

(参考記事1:「サイコパス」それは25人に1人いる「良心をもたない人たち」)

(参考記事2:成功者としての「サイコパス」。その秘められた能力)

(参考記事3:「絶歌」一人の元犯罪者としての感想と「反省を理解できない脳」について。)


さて、この「シリアルキラー」と「サイコパス」はよく混同されがちなんですけど、実は結構違います。その相違点は、

・シリアルキラーは殺人そのものが「目的」であるのに対して、サイコパスにとっての殺人は「手段」である。

という点。前途の記事にも書いていますが、サイコパスは必ずしも犯罪者になるわけではありません。むしろ受刑者よりも企業経営者の方がサイコパス度が高かったりします。

「目的そのものが殺人のシリアルキラー」と「目的のために殺人おもいとわないサイコパス」といったニュアンスです。もちろんサイコパスのシリアルキラーもいるとは思いますが、サイコパス=シリアルキラーではないということ。結果としてシリアルキラーになってしまったサイコパス、と言った方が正しい表現の仕方かもしれません。そもそもサイコパスがその人の性質もしくその性質が強い人を表す単語であるのに対し、シリアルキラーは性質と結果(殺人)を行った人間を指す単語ですし。


ってことで、簡単にこの記事をまとめておくと、
 

・ガチのシリアルキラー(連続殺人鬼)はそのまま死刑になるため刑務所で会う機会は少ない。
・服役先の刑務所の分類区分によっても受刑者の質は異なることが予想される。
・サイコパスとシリアルキラーは合わさっている場合もあるが、異なる概念である。
・サイコパスは目的のために手段(殺人すら)を選ばない人間。シリアルキラーは殺人そのものが目的。
・手段を選ばなかった結果、シリアルキラーとなってしまったサイコパスも存在する。
 

ちょっと今回は上手く質問には答えられませんでしたね…。シリアルキラーとサイコパスに関しては「犯罪者の遺伝子は存在するのか?」「自身をサイコパスだと診断した医師の話」といった面白い本もありますので、また機会を見て書評を書き起こしたいと思います。


それでは、この辺で。けもの道をいこう。