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「人生の半分は塀の中でしたね。大体16年間ぐらいいたんじゃないですかね。」

のっけから衝撃発言で幕を開けたインタビュー。服役経験4回の後、ヒューマンハーバーに就職。そのあと独立を果たした元受刑者の「立花太郎さん」(34)。

今や子どもも産まれ一児のパパ。しかも全国的にも珍しい「顔出し」かつ「実名公開」。実名にしようかどうかで迷っている僕なんかはあっという間にかすんでしまう彼の覚悟。その生い立ちや想い、奥さんとの出会い、そして実名公開に至った経緯などを聞かせていただきました。


中2のときから組に出入り。出所して娑婆にいた期間は1年もなかった。

中2にの頃から組に出入りしてました。バイクに興味があったんですけど、「買うよりも持っていった方が早い」みたいな発想でしたね。

20歳のときから、出所して娑婆にいる期間が今まで1年を越えたことが、ここで働くまで無かったです。だから今年のクリスマス・イヴで2年なんですけど、過去最長記録を更新してますよ!

いるとは認識していましたが、実際に「人生の半分を刑務所ですごした人」に会うのは初めてでした。

立花さんの場合、家庭環境に特に問題は無かったとのことですが、中学校時代から徐々にグレはじめ、鑑別所から少年院、そして刑務所まですべて網羅されたようです。

逮捕されたときの周囲の反応も、驚きよりかは「またか」や「やっぱり」といったものがほとんどだったとのこと‥。また、周囲にも逮捕歴のある知人や友人がいたこともあり、刑務所の入ること自体そこまで珍しい話ではなかったようです。


就職欄の空白を埋めれず自暴自棄に。4度の刑務所生活を送る

施設経験者にとって、更正をしようとする際に一番つまづきやすいポイントは「就職」。立花さんもその点は例外でなかったようです。

鑑別所だったらすぐ出るんでいいんですけど、年少とかになってくると1年以上はいなきゃいけないじゃないですか。そうするとどうしても空白が出てくる。

ハローワークからは「言わなくてもいいから、何とかごまかして」と言われるんですけど、作り話って面接してるときにバレちゃうんですよ。

「ハローワークに何とかごまかしてと言われた」の発言は予想していたとはいえ、少しショックでした。(ちなみに僕自身は出所してからハローワークを利用していません。)ハローワークとしても前科を履歴書に書けば落とされることは理解している。しかし、書かないと空白ができる。なのでどうしても埋めないといけない‥。やはり元受刑者の就職は知り合いのツテを頼ったり、経歴詐称をするケースがほとんどということが伺えます。

(参考記事:元受刑者の就職 ~経歴詐称は避けられない?!~

一応日本には「協力雇用主制度」といわれる施設経験者を雇用する企業もあるのですが、ほとんどが機能していない状況です。

(参考記事:「出所者の2%しか利用していない」出所者支援の協力雇用主制度における衝撃の事実。)

こうした状況の中、立花さんは「どうせまた無理だろ」と自分で諦めてしまい、また犯罪への道へと‥。結局、今回の出所まで4度の刑務所生活を経験することになります。


刑務所生活で出会った仲間に誘われヒューマンハーバーに入社。その後、独立へ。

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出所後ヒューマンハーバーに入社した立花さん。実はこれ、昨日の記事の中川さんと刑務所で出会ったことがきっかけで紹介してもらってるんです。「刑務所の中のつながりがプラスに働いた稀なケース」といえるかと。すでに独立されていますが、自らが働いていた会社のことをこう言われていました。

前科あっても関係なくて、面接でそれを言っても採用してくれる会社ってないじゃないですか。だからその点は本当にやりやすかったです。

僕もそうだったんですが、前科がある人間には仕事をする上で「面接の壁」と「就職してから前科がバレる可能性のリスク」があります。まず、面接では「履歴書をどうしようか‥」という壁があります。そして運良く経歴詐称なりをして入れた会社で真面目に働いていたとしても「前科が発覚しクビ」になるという不安が常につきまとうんです。

僕も前職では社長や直属の上司にはすべて打ち明けた上で働かせてもらっていました。しかし、結局1年3ヶ月働いて前科のことを打ち明けれたのはその他に2人だけ。しかもそのうち1人には「ネット記事でバレた」という経緯でした。

(参考記事:職場の同僚に前科がバレた結果。

なのでこの立花さんが言われている「前科を隠さなくていいやりやすさ」は本当によく分かります。最初から打ち明けていれば、後からどうこうなるという不安が無くなり、安心して働けるんです。

そして立花さんヒューマンハーバーに入社し、1年以上働いたあと自らリサイクル業を立ち上げ独立することとなります。その他にも、以前の「悪仲間」との交友に関して伺ったところ、今ではまったく連絡をとっていないとのこと。中川さんとは対照的な答えが返ってきました。


奥さんとの出会い。前科のことを打ち明け、相手の家に結婚の挨拶に行くまで。

実は僕が今回のインタビューで一番聞きたかったのはこの点でした。元受刑者の恋愛事情や結婚事情は世間に全く出回ってないからです。

−−−−−奥さんとの出会いのきっかけは?

出会いは本当にたまたまで、近くのスーパーで相手(現在の奥さん)が働いていたんです。最初は「自分みたいなヤツが‥」と思ってましたが、ふとしたきっかけから話す仲になり、そこから自然と付き合うようになっていました。

−−−−−付き合うとき、奥さんへ前科を打ち明けようとはしましたか?

言わなくちゃダメだ、と思っていたので話そうとすると、「別に話さんでいよ。今真面目にしてるんやろ?」と逆に言われ、最近まではずっとそのままでした。

−−−−−それは意外な展開ですね‥。いつ、しっかり話されたんですか?

地元のテレビが会社の取材にきたときに自分が前科を隠さずに顔を出してからですね。

放送があった日に電話して「テレビ見た?」と聞くと「見た」と。その日会いに行って洗いざらいすべて話ました。

−−−−−そのときの奥さんの反応は?

ある程度予想はしてたみたいですけど、まさかそこまでとは思ってなかったようで‥。少し驚いてはいましたが、受け入れてくれました。

僕がこんなことを言うのもおこがましいですが、本当にできた奥さんだと思います。立花さんが心底羨ましい!ちなみに奥さんは別に昔荒れていたとか不良だったとかそういうわけではなかったそうです。

奥さん(当時の彼女さん)のハードルは突破した立花さん。そして、その次にはやはりあのハードルが‥

−−−−−結婚の挨拶のとき、相手の両親はどういった感じでしたか?

もうすでにそのときには子どもが出来ていたので、まずそのことを詫びました。

そのあとに自分の前科やこれまでのこともすべて話しましたが、あちらのご両親からは「まあ昔のことだから。いいじゃないか。」と受け入れてもらえました。

僕の中では「最初は反対されただろう」と予想していましたが、実際にはそんなことはなかったようです。下手に隠す立てするよりも、迷ったときは正面突破の方がいいのかもしれません。もちろん各家庭により差はあるでしょうが「娘の決めた人なら」と応援してくれる両親がいるということを聞けただけでも嬉しかったです。


実名公開、顔出しをすることについて

4度の服役経験がありながらも今は立ち直り、結婚。子宝にも恵まれた今の状況で「実名公開&顔出し」をしている立花さん。僕も立花さんの記事を見たときは非常に勇気づけられました。しかし、一方で「批判や中傷はあったのだろうか?」という心配も‥。自分だけならまだいいものの、家族や周囲の人などへの批判はあったのでしょうか。

頭では何を考えているかは分かりませんが、今のところ面と向かって自分や周囲への批判が来たことはありませんね。

−−−−−僕も含め、みんな意外と考えすぎなのかもしれませんね。実名公開、顔出しをすることについて想いはありますか?

最初から言おうが後から言おうが離れていく人は離れていくと思っています。じゃあもう最初からオープンに言った方がいいじゃん!っていうのが自分の考えです。

これから批判もあるでしょうが、自分がこうして顔を出すことによってイノシシさんみたいに「勇気づけられた」と言ってくれる人がいることの方が嬉しいです。

−−−−−そういった考えの方がいて僕も嬉しいです。少し答えにくい質問かもしれませんが、もしお子さんが立花さんの前科のことでイジメに遭うといったことを想像したりしますか?僕は以前に見た「手紙」という本の内容がずっと頭から離れていなくて‥

たしかにもし自分のせいで子どもがそういう状況になってしまえば申し訳ないと思います。ただ、それでも子どもにはその状況に負けないよう強くあって欲しいです。

たぶん、一番大事なのは子どもから見たときに僕の背中が「見せれる背中かどうか」じゃないかと。いくら過去がダメでも、今しっかりとして尊敬できる親父だったら子どもも分かってくれるんじゃないかな、と思っています。

今から子どものそんなことを考えて「どうしよう‥」となっても仕方がないので、頑張るしかありません。

頭をガツンと殴られたような感覚でした。たしかに言われてみれば「子どもの環境を心配する」のも大事ですが、それはコントロールしようにも限界があります。もっと大事なことは「自分の生き方」。クヨクヨと悩んでいた自分が少し恥ずかしくなりました‥。どうにもならないことを心配しても仕方がない。自分の生き方が誇れる生き方かどうか、って話です。


最後に

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−−−−−最後に何か元受刑者の方達にメッセージはありますか?

僕は今こうして実名公開して顔出することによって自分を追い込んでます。オープンにすると周りから見る目も厳しくなるのは当たり前なので、もうやるしかなくなるから。

その中で「俺でもできる!」ってことを証明して、それに共感してくれる人がいれば嬉しいです。

僕も本当に頑張って欲しいです。そして、このインタビューを通して勝手に元受刑者の恋愛や結婚にハードルを設けていた自分にも気づかされました‥。結局の自分が一番気にしているのは周囲の目以外の何物でもないな、とも。後ろ向きな考えになっていた自分を勇気づけてくれた今回のインタビュー。本当に感謝しかありません。ヒューマンハーバーの方々、そして独立された立花さんを今後も定期的に追っていきたいと思います。

そして、全国にはまだまだ頑張っている人たちは大勢いて、大切な情報も無数にあります。
僕はそれらを埋もれさせたくありません。
 

そんなことを思いながら、けもの道をいってきます。