後編では、店舗のコンセプト設計からメニューに至るまでをトータルで管轄された、フードプロデューサーである竹内仁栄(たけうちきみはる)さんに「餃子」と「火消し」それぞれに込められたエピソードと想いを語って頂きます。

餃子は丸ごと「包み込む」

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(店内の立て札には協賛企業や個人の名前が。中には先日取材させて頂いたPaix2(ぺぺ)さんの名前も。)

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ーーーー看板メニューを「餃子」にされた理由を教えていただけますか。

餃子って、あまり知られていないんですが、本来子どもが生まれたときなどに食べる縁起の良い食べ物なんですよ。まず、それが理由の一つです。

もう一つの理由は、元受刑者を雇っていく話だったので、そういった人もみんなで「包んでいこう」という想いからきています。

もちろん、味にも自信があります。多少冷やかしっぽく来るお客さんも中にはいますが、料理を食べると納得してもらえます。

餃子が縁起の良い食べ物というのは、初耳でした。言われてみると、餃子を作る上での「包む」工程と、出所した元受刑者を社会で「包む」は上手く掛け合わさっています。また、あとで出てきますが、「社会のためになる事業」とはいえ、これはビジネスです。味、接客、店内環境、それら全てが揃わないと、冷やかし客をうならせることはできないでしょう。


火消しは命をはって「ここで止める」の決意

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ーーーーもう一つ特徴的なのが、店全体を覆うこの「火消し隊」のレイアウトです。ここにも何か特別な意味合いがあるのでしょうか。

江戸時代の火消し隊は、当時の任侠(ヤクザ)の人たちがやっていたと言われています。その頃、どこで鎮火をし終わったのを分かるように、その地点に棒を突き刺すという風習がありました。「命をはって、火を止める。世のため、人のため。」そういった気概の現れです。

私達の「再犯のスパイラルを止める」という熱い想いを上手く表現できると考え、店内はこういったレイアウトになっています。

また、他にも吉原でよく食べられていた「さくら(馬の肉)」をメニューに加えて、「精をつけて火消し隊のような活躍をしてほしい」といった意味もあります。

今はどうか分かりませんが、昔のヤクザといえば「弱気を助け、強気を挫く、庶民の味方だった」という話はよく耳にします。その古き良き「気概」には、学ぶべき点が多くあるはずです。そして、このお店が「負のスパイラルを止める場所」になってくれることを願っています。


飲食は「直に感謝される」からいい

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ーーーーその他にも、何かお店で伝えておきたい点はありますか。

飲食って、声のかけあいが多いじゃないですか。お客さんに直で感謝される、褒められる。それって、すごくいいことなんです。感謝されてない人間は、感謝できない人間になってしまうので。だから、仕事を通して、スタッフだけでなくお客さんとも心を交わらせる機会の多い飲食は、出所者の支援に向いていると思います。

「食」の部分はもちろん、そういった「人」の部分も合わせて、トータルプロデュースさせてもらっています。

僕自身、飲食店で働いたことがありますが、竹内さんのおっしゃる通り「顧客と直接顔を合わせる機会のある職業」は、とてもやりがいを感じやすいようになっています。刑務所を出た人間というのは、どうしても塞ぎ込みがちです。そんな生活をしている人にとって、他人との接点を持つ接客業という仕事は、ある種コミュニケーションのリハビリになっているのかもしれません。


ということで、実際に料理を頂いて来ました!

メニュー表はこちら。

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(ドリンクメニュー)

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(フードメニュー)

今回は「焼き餃子」「揚げ餃子」「炊き餃子」の3つと、「馬刺し三種盛り」を頂きました。

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餃子はどれもモッチモチ!我が地元高知では、小ぶりの一口餃子が屋台を中心に多く見られますが、こちらでは大ぶりの食べごたえあるサイズです。焼いても、揚げても、煮ても食感がしっかりしており、噛んだ瞬間、すごい量の肉汁が飛び出てきます。餃子の中では個人的に「炊き餃子」がツボでした。

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(左から、赤身・たてがみ・中落ち)

そして、この「馬刺し」がまた旨い。赤身はユッケのように臭みがなく、噛めば噛む程に旨味が…。たてがみはトントロを刺し身で食べているような濃厚さがありつつ、それでいて胃がもたれない不思議な味。そして、中落ちは和牛の刺し身を食べているかのような赤身と脂身の絶妙なバランス。

個人的には、この「馬刺し」が餃子よりも好きになってしまいました!


「コンセプト」だけじゃない、味のクオリティ

正直、こういった活動は「社会的に良いことをしてるから、ビジネス色はそこまで…」となってしまいがちです。しかし、竹内さんの話からはそんな気持ちは全く感じられませんでした。そして、実際料理を食べた僕も率直に「旨い」と思えました。特に馬刺しは、今度行くときも必ず食べる予定です。

店舗は2階建てになっているため、20人程度の宴会でしたらちょうどよいサイズ感です。もちろん、一人で来て軽く引っ掛けていくにも持ってこいの雰囲気。一度興味本位で来店したはずなのに、料理のおいしさに気がつけばリピーターになってしまった。そんな人も少なくないはずです。

店舗情報は下記に記載していますので、東京の在住の方も、旅行や出張で来られた方も、ぜひ!(何と1/16から24時間営業になっています)


【店舗情報】
店舗ホームページ
Facebookページ
・住所   :新宿区歌舞伎町1-12-2 第58東京ビル1階・2階
・営業時間 :24時間営業(1/16より)
・定休日  :年中無休
・通販サイト:通販公式ホームページ

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明日の取材記事3本目は、実際に働かれている元受刑者の方へのインタビューです。元暴力団員でもあったその人は、そのことが原因で社会復帰までに苦労をされたようです…。